イカの煮物って美味しいですよねー!
いざ作ってみたらをイカが鍋に焦げついてしまったという経験はありませんか?
イカを煮た後に焦げてしまった鍋をたわしでこすってもなかなか取れなくて、強くこすってしまい鍋に傷がついてしまったことも。
そうなるとイカの皮がくっつかないテクニックが知りたいですよね。
今回はなぜイカの煮物を作ると鍋にくっついてしまうのか?
鍋にこびりつかない方法とイカを柔らかく調理テクニックを紹介したいと思います。
レストランのようにプリプリの柔らかいイカ料理が作れるようになりますよ!
目次
イカを煮ると鍋にこびりつく!その理由
イカの成分は80%の水分以外、ほとんどは「たんぱく質」で出来ており、人間の体内で作れない必須アミノ酸群が豊富に含まれています。
よく、グリルで魚を焼くと焼き網にこびりついてボロボロになってしまうことがありますよね?
たんぱく質は加熱すると金属と結合する性質があり、この現象を「熱凝着(ねつぎょうちゃく)」と呼びます。
金属性の鍋でたんぱく質の多い魚、肉、卵などを加熱すると、たんぱく質は50℃から熱凝着が始まり、80℃になると完全にくっついてしまいします。
金属とたんぱく質が直接触れ、くっつくとなかなか離せません。
これが肉や魚を調理するときのコゲの原因になるのですね。
温度を80℃以上で維持することと、金属と食材の間に油を塗って膜を作るとこびりつきません。
イカの皮が鍋にこびりつく原因は「タンパク質」
鉄やステンレス、アルミなどの金属鍋やフライパンの表面は、「吸着水」と呼ばれる「目では見えない吸着水分子”吸着水”の膜」で覆われています。
イカが含むタンパク質は、水に溶けやすい性質があり、金属の鍋でイカを煮るとタンパク質が溶け出して、鍋に付着している「吸着水」に溶け込みます。
そのまま加熱すると吸着水に溶け込んだタンパク質は熱で固まってしまい、イカの皮に含むタンパク質と金属鍋をくっつける糊のような働きをするため、鍋に皮がこびりつくのです。
一度くっついてしまうと、イカの性質なのかこすっても落ちにくいのが難点ですよね。
イカを鍋に焦げ付かせない方法
「吸着水」+「水分」は、加熱50℃から変性し始め80℃になると完全にくっつくと説明しましたよね。
つまり、タンパク質と金属が反応しないようにしてあげれば焦げ付きは少なくなるということです。
しかし、この吸着水は、鍋の温度が100℃になっても蒸発せず、調理限界の温度を超えて250℃でないと蒸発しません。
中華鍋のようにモクモクに煙を出して熱さないと効果がないので鍋で空焚きをしたら危険です。
手軽な方法は、フッ素樹脂でコーティングしたテフロンの鍋なら、膜を作っているので反応せずくっつきません。
また、鍋底のこびりつき防止にクッキングシートを敷くのも効果的!
それにイカのタンパク質の変性が始まる「60℃」を保てば、金属と結合するのを防げます。
家で食べるイカ料理は固いと感じることはありませんか?
これは火が入り過ぎている、調理温度が高すぎるのが原因です!
詳しくは次で説明しますが、イカの調理ポイントは「60℃」なんです。
イカは60℃以下で調理するのが良い理由
レストランでイカ料理を食べると、柔らかくて身がプリプリしていてとてもおいしいですよね。
プロの料理人がイカを調理するときは、「60℃前後」で「さっと火入れ」させていたんです。
実際に長崎県総合水産試験場では、イカの硬さについて実験していました。
実験では、スルメイカと剣先いかを使い、それぞれ30℃~90℃で硬さを調べています。
このグラフを見ると、どちらのイカも60℃が最も低く80℃以下では加熱時間が長いほど、肉質の硬さの数値が低く90℃では時間が短いほうが低くなっているのが分かります。
このデータを見る限り、60℃調理が1番柔らかい食感が保たれるのが分かりますよね。
さらに結果から、あらかじめ60℃で加熱後に90℃加熱を加える2つの工程をすることで、直接90℃の高い温度で調理するよりも柔らかいということです。
てんぷらやイカ焼きにも適しているそうで、煮ものや炒め物料理すべてに応用できそうですね。
「60℃」ってどのくらいの熱さ?
60度と言われてもピンと来ないかもしれませんね。
例えば、
- 鍋で沸騰しているお湯に同量の水を入れて火を止めたら約60℃
- 水から沸かして、小さい泡が立ち始めるのが60℃、その泡が増えてくると70℃になります。
- イカの身がぷっくり丸みを帯びてきたときが60℃ぐらいです。
イカは80℃になると硬くなってしまうので、調理の際には参考にしてみてください。
動画ではあのなだ万の料理長がイカの煮物の作り方を紹介しています。
動画内でもイカを切り分けた後にさっと霜降りにして氷水にとり、そのあとで大根と煮ていますので先ほどの2段階調理のテクニックを使われていますね☆
ぜひご参考にしてください!
魚の生臭さをとるテクニックはこちら
鍋のコゲやこびりつきの落とし方
煮物などで鍋についてしまった焦げなどは、重曹を使うときれいに落とせますがアルミ製や銅製には使えません。
そして金属たわしなどでこする時も、傷がつかないように注意する点があります。
すでにこびりついてしまった鍋やしつこい汚れを鍋の種類での落とし方と注意する点をご紹介します!
アルミ鍋(雪平鍋・平行鍋)
重曹はNG・金属のヘラやたわしも使えません。
水に食器洗剤を入れて沸かし、木べらでこそぎながらに煮立たせます。
焦げ付きが酷い時は、お酢を入れて煮立たせて汚れを浮かせるか、りんごの皮を水に入れて沸騰後、皮で焦げた所をこする方法も。
落とした後は、黒ずみ防止に米のとぎ汁を入れて15分煮て、酸化被膜を作らないとまた黒ずむのでご注意ください。
ホーロー製 の鍋
衝撃に弱いので、クレンザー・金属たわし・ヘラはNG!
鍋に水を入れ、重曹を小さじ2入れて混ぜてから火にかけて沸騰させ火を止め、触れる温度まで放置すると焦げが浮き上がってきます。
お酢(クエン酸)と水2:1の割合で沸騰させて木べらでこすってもいいでしょう。
銅製鍋
重曹、金属たわし・ヘラはNG。
水を沸騰させて汚れを浮かせて木べらでこするか、柔らかい金属の銅には、スポンジに酢と塩をつけてこすります。
小麦粉と岩塩(あら塩)を1:1で混ぜたものに、少しずつ酢を加え粘土状にしたものでこすると酸化してしまった銅鍋を元の色に戻すこともできますよ。
これはフランスで修業したシェフに教わったテクニックで銅鍋をよく使う本場では常備しているという話です。
ステンレス製の鍋
金属製たわしやヘラはNG。
焦げ付き部分に重曹を撒いてスポンジでこするか、焦げ部分までかぶるくらいの水を入れ煮立たせて、汚れを浮かせて木べらでこすります。
フッ素加工された鍋
クレンザー・金属たわし・ヘラはNG。
水を入れて1晩ぐらい置いて焦げをふやかしてから、柔らかいスポンジで優しくこすります。
コーティングが剥げやすいのでゴシゴシこするのは逆効果となります。
>>>テフロン加工が剥がれた!食べても大丈夫?フッ素加工を復活させる方法
鉄鍋
鉄なべに洗剤は使えません。
焦げがひどい時は、空焚きしてこげを炭化にして、金属のヘラでこそぎ落とします。
その後にうすく油でコーティングしておくとこびりつきません。
土鍋
洗剤を入れてつけ置き・クレンザー・金属たわし・ヘラはNG。
水に重曹を小さじ2入れて火にかけ沸騰させます。
汚れ具合で時間をおいてスポンジでこすります。お酢で代用もできます。
重曹とは、炭酸ナトリウムという成分で、アルカリ性を分解する性質を持っています。
お湯を沸騰させることで、二酸化炭素が発生し、これが気泡となり内側にある汚れを細微な状態で剥がして浮かせるので綺麗になります。
重曹の粒子は細かく角がないので傷がつきにくいため、少量の水と混ぜて直接こすっても鍋を傷めない利点があります。
大体の汚れは、お酢・重曹・クエン酸で落とすことができますよ。
また、油汚れなどの酸性の汚れには重曹を、茶渋などのアルカリ性の汚れにはクエン酸を、と汚れに合わせて使い分けることで効果的に取り除く事ができますからね。
焦がした食材は酸性?アルカリ性?コゲ取りに効果的なモノ
鍋によって使える掃除道具が変わってきますよね。
実は焦げた原因の食材によっても、コゲを落としやすくするしないがあるのです!
それは酸性かアルカリ性かの違い。
掃除で大切なのは汚れが酸性かアルカリ性かを見極めること。
アルカリで落ちる汚れに酸性の洗剤や薬品を使っても、酸度が高まるだけで汚れが落ちません。
ここでは簡単に食材が酸性なのかアルカリ性なのかご紹介しますね。
酸性食品・・・肉・魚・卵・穀類・加工食品・チーズなど乳製品
酸性の食品の焦げつきには、アルカリ性の「重曹」を使うと落ちやすい。
アルカリ食品・・・野菜・くだもの・海藻・キノコ類・茶・コーヒー・小豆など
アルカリ性の食品の焦げつきには酸性の「お酢」や「クエン酸」が効果的にコゲを落とします。
お鍋の外側や底部分の焦げ付きにも、重曹やお酢を使えばピカピカになりますよ。
まとめ
食品の熱凝着が始まる温度は50℃~80℃と分かりました。
よく予熱して、80℃に下げないように気を付ければ、餃子や炒飯でくっつく失敗が無くなりますね。
イカが一番柔らかくなる温度は60℃です。
- 鍋を60℃で保てばイカがこびりつかない
- 水から丸ごと茹でる
- 一旦60℃で熱を通してから、高温で加熱するイカ料理を作ると柔らかい食感が保つ
もう鍋のこびりつきを気にしないでイカの煮物が作れます!
是非、試してみてくださいね。